「まるで幕末にタイムスリップしたかのようでした」——上海で味わった“龍馬の記憶”とミシュランの味
「上海で坂本龍馬の話を聞いたこと、ありますか?」
ある日、上海の中心・静安寺を訪れた私は、不思議なご縁で“上海龍馬研究会”なる会合に参加することになりました。日本を脱藩(!)した会長に代わり、現地会員のSさんが私を案内してくださるということで、旅の期待が一気に高まります。
案内されたのは、地元でも人気ランキング1位と噂される名店「人和館」。ミシュラン星付きの名店ですが、なんと予約をしていなかったために、待ち時間はまさかの2時間。普通なら気が滅入る状況ですが、そこは“龍馬流”。すぐさま観光モードに切り替えて、まずは静安寺を一周。
その後ふらりと立ち寄った居酒屋がまた衝撃。中国人オーナーの店ながら、日本の昭和がそのまま息づいているような空間で、ハイボール片手に異国感ゼロの“乾杯”。海外で見つけた小さな日本に、妙な安心感を覚えました。
そしてついに、人和館へ。待ったかいあり、上海料理の真髄に触れる極上の体験。ミシュランの称号は伊達じゃありませんでした。
驚いたのはその後です。「これは上海の礼儀だから」と、年下のSさんがご馳走してくれたのです。年上に敬意を払い、学びを共有するその姿勢。思わず龍馬と高杉晋作の“志士魂”を重ねてしまいました。
異国で感じた、歴史と人情と美食の三重奏。あの日の体験は、ただのグルメ旅では終わりませんでした。
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